2003年03月03日

(旧館から)
LEDは電気で光らせることができますが、豆球とはちょっと違います。使う上で必要なことをまとめてみました。

■LEDと電球の違い

  • LEDは電気で励起された物質が光を放つ現象を利用

  • いくら電圧をかけても消費される電圧はあまり変わりません
    (かけすぎると爆発します)

  • 電球は電圧で明るさが変わりますが、LEDは電流で明るさが変わります

  • 熱くなりません

  • 寿命が飛躍的に長い

  • ダイオードなので電気が流れる向きが決まっています

  • 同じ明るさなら消費電力はかなり少なくなります

  • 大きさが小さい

  • 色が純粋
  • ■LEDの使い方
    LEDは直接電池や電源につなげると電流が流れすぎてすぐに壊れます。注意してください。

    電気が流れる向き

    向きが決まっています。
    通常のダイオードとは違い、光を遮らないように電極が細いので、逆向きに電圧かけるとすぐ壊れます。
    向きは足の長さや太さで見分けられます。長いほう、太い方がA(アノード)、短いほう、細い方がK(カソード)といいます。Aがプラス側、Kがマイナス側になります。
    透明なものなら電極の形でもわかります。ただ、製品によって電極は違うので加工前に確認してください。


    電圧降下について

    トランジスタやダイオードは、電極の両側で一般的にはだいたい0.7V位電圧が降下します。
    この分、電力を消費しているわけです。
    LEDもダイオードですが、もう少し大きくなります。赤や黄色など波長の長い単色系のもので、1.75v位から2.3v位。青や青緑、青に蛍光を加えた白など、3v以上もあります。
    カタログや店頭、ページで確認してください。
    (実際にテスターではかってみると流れる電流で、若干変動していました。)

    明るさは、LEDを流れる電流で決まります。
    電流が多く流れると明るく、少ないと暗くなります。
    ちょうどいい電流は、ものによっていろいろありますが、5mAから35mA程度までが対応範囲のようです。
    各メーカーのページや部品屋の店頭に規格が出ているので、買うときにはメモしておきましょう。
    実際には100mA程度は大丈夫みたいですが、寿命が短くなるようなので、なるべく規格以下の電流で使いましょう。

    電流の制限の仕方

    電圧がある程度一定でき、お安くあげる場合には抵抗を使い電流を制御します。
    また、電圧が曖昧なときには定電流ダイオードCRDを使ったり、定電圧回路を使ったりします。

    ■例題を元に抵抗の値をを計算してみましょう。

    条件
    電源は9Vを考えてみます。
    LEDは赤色、1.75v電圧降下する、30mA(0.030A)定格のものの使用(手元にあったので)。

    計算
    基本的にはオームの法則を使います。

    抵抗は、LEDと電源の間に直列でつなぎます。
    すでに書いたようにLEDの両端で電圧が下がります。残りを抵抗で消費させます。

    ですから LEDが一つの場合は、残りの電圧は
    9V - 1.75V = 7.25V
    直列につなぐ抵抗の値は、オームの法則(電圧=電流*抵抗)により計算すると、
    7.25V = 0.030A * 抵抗値 ですから
    抵抗値 = 7.25V / 0.030A =241.6666....Ωになります。
    実際にはこんな抵抗値のものは売っていないので、240Ωを使いましょう。

    抵抗には、消費する電力の定格があるので、一応確認すると
    電力 = 電流 * 電圧 = 0.030A * 7.25V = 0.2175W
    となります。

    安い抵抗(炭素皮膜)には1/4Wと1/2Wのものが多くありますが、
    ここでは、 1/4W以下のものでぎりぎりセーフ。できれば1/2Wのものを使った方がいいでしょう。
    (ちなみに、この電力、すべて発熱に回ります。抵抗が熱くなります。)

    LEDと抵抗をあわせた回路全体での消費電力は
    9V * 0.030A = 0.27W
    です。

    応用

    LEDをたくさん使う場合には、電源からの電圧の範囲内で直列にすると、消費電力と発熱をおさえられます。
    LED一つ足す毎に、電源電圧からLEDの降下電圧を引いていきます。


    先ほどと同じ電源とLEDで、できるだけ多く直列に並べると
    9V - (1.75V * 5個) = 0.25V
    で5個並べられます。

    先ほどと同じように抵抗値を計算します。
    0.25V = 0.030A * 抵抗値ですから、抵抗値 = 0.25V / 0.030A =8.3333...Ωとなります。
    抵抗で消費される電力はぐっと減って、
    0.25V * 0.03A = 0.0075W

    LEDと抵抗をあわせた回路全体での消費電力は先ほどと同じで、
    9V * 0.030A = 0.27W
    です。
    熱になるエネルギーが光に変わっているので明るさ5倍で電力消費は一緒です。
    かなりお得です。

    実際には、 電源の電圧が安定しないことが多いのでマージンが必要です。
    応用例では、8.75V以下に下がるとLEDが消えちゃいます。
    (実際には定格の電圧降下値以下でも、なんとか光るものがあります。電球よりはシビアです。)

    実電源の電圧は変動することが多いので、電圧の最小と最大を考えて計算します。
    何とか点灯するところから、爆発しない範囲の間に納めます。
    抵抗値やLEDを直列につなぐ数で調節したり、 電圧を安定させる回路を追加します。

    CRDを使うと、かかる電圧にあわせて抵抗が変わり、電流を一定にできますが、
    値段が高いことと、メーカーが少ないので15mAまでのものしかないようです。

    試作では?
    試作では懐中電灯は抵抗のみですが、ウィンカーは安定化電源回路も併せて組んでいます。
    バッテリーレスのSRだと、測定値で6Vから18Vくらいまで電圧が変動していました。
    抵抗だけでは、明滅しないようにできなかったのです。
    ストップランプは電源用意しなかったので、エンジンの回転にあわせ明滅しています。

    電球とは違い、オン/オフを繰り返しても全然平気みたいです。

    より明るくしたい場合には、
    直列につなげたLEDと抵抗の回路を、並列に並べます。

    また、必ず、LEDと抵抗はセットにしてください。
    そうしないとLEDの品質のばらつきで、電気が流れやすいところに電流が集中したりして、不具合が発生します。

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