2003年12月18日

(別館から)
エンジンの熱対策の番外編でちょっとだけオイルのことを考えてみたよ。
ここまでの記事を読むと分ると思うけど、熱対策のいろんなところにオイルが出てくるよね。エンジンの中でのオイルの役割を整理して見るよ。

○熱の運搬
・部品の間で熱を伝えるため
・エンジン内で熱を運ぶため

○熱の発生緩和
・衝突や衝撃で熱を発生させないため
・摩擦熱を発生させないため
・密閉をよくして効率を上げて少ない混合気(少ない熱)でも必要なパワーを出すため

○そのほか
・均等に暖めて、急激な加熱のショックを和らげるため

熱についてだけだけど、こんな感じかな。

色々役目があるけど、滑ればいいだけじゃないのはわかったかな。

すぐにさらさらになっちゃうって、弾性がなく、透間から流れやすいオイルとか、金属の表面に止まっていられないオイルだと局所的に熱がたまっちゃうから、部品にとってはすごくつらいんだよ。

もともとの設計段階でのクリアランスや熱に対する部品の耐久性、変形具合なんかで、それぞれのエンジンに適した粘り具合が変わるけど、熱の運びやすさ、衝撃の吸収具合、密閉する能力なんかは、表示されてないんだよね。残念だけど。

だから、いろいろな銘柄を試して見るしかないんだよね。

ちょっと、オイルの構成について考えてみるよ。オイルはベースオイルと添加剤をブレンドしてできているんだよね。オイルに鉱物油と化学合成油って知ってるでしょ。実は植物系のものもあるんだけどね。それって、ベースオイルの作り方の違いのことなんだよ。

一般的には鉱物油の方が添加剤が多くて、化学合成された油の方が添加剤が少ないみたいだね。それは、鉱物油の方がベースオイルがさらさらだったり、混ざりものが多かったりして性能が安定しないから、添加剤で補おうとしてるからなんだよ。

混ざりものがなぜ入ってるかっていうと、鉱物油は原油を分留、精製して作るときに混じっちゃうのさ。そう。鉱物油って、どろどろの原油からガソリンや灯油、軽油なんかと一緒にできるんだよ。元が一緒だから、安く作ろうとすると性格の違う油が混ざっちゃうんだよ。分留って、原油を暖めて、重いものは沈み、軽いものは浮くことを利用しているからね。オイルと同じ重さだけど種類の違う成分がいっぱい混じってるのさ。

じゃあ化学合成の油はどうなんだろう?
こっちも原料は原油がほとんどなんだけど、色々な化学的な処理を加えて、材質が均質になるように合成し直しているんだ。だから、元の油にない性質にすることもあるよ。耐熱性や、金属とのなじみ、ゴムやプラスチックへの攻撃性の低さ、汚れを落とす能力、熱や力がかかってもさらさらになりにくい能力などかな。オイルとしての基本的な性能を化学的に設計して作られているんだ。だから、選んだだけの鉱物系のものよりいろいろな性能が高いことが多いんだよね。

検索してみたら、化学合成っていっても、炭化水素系・エステル系・エ−テル系・シリコン系・フッ素系なんて種類があるらしいよ。

聞いたことない?へたったエンジンに鉱物系のオイル入れたらオイル漏れが止まったとか、ずっと鉱物系の油使っていたエンジンに化学合成のオイル入れたら、オイルがにじみ出したとか?オイルに混じっている揮発性の油分、軽油とか灯油、ガソリンなんかにも入ってるんだけど、それがシール剤や耐油性のゴムを膨らましちゃうんだよ。だから、オイル漏れが止まったり、無理に膨らまされてすり減っていたシールが、元の大きさに戻ってオイル漏れを起こしたりするんだよね。

脱線しちゃったけど、鉱物油も化学合成の油も単独の物質では必要な性能にできないから添加剤を入れてるんだ。たまーにベースオイルだけってものもあるけどね。

その添加剤も問題なんだ。ベースの油がいくら丈夫でも、混ぜてある成分が弱いとすぐに性能が落ちてきちゃうのわかるでしょ?

匂いが飛んだら今いちな感じのモチュールとか、ちょっと走ると柔らかくなっちゃう4CRあたり(落ちてからも良い油だけどね)を思い出してね。添加剤が弱いと最高の性能を持続できないんだ。まあ、ベース油が弱くて、添加剤だけ性能維持できるなんて場合は論外だけどね。

添加剤の種類を役割ごとあげてみると、耐摩耗剤・清浄剤・分散剤・粘度指数向上剤・流動点降下剤・酸化防止剤・などなど、かな。興味のある人は調べてみてね。

オイルには堅さってあるでしょ。動きをよくするためだけに油を使っている時は、さらさらな油の方が摩擦は少なくなって良さそうだけど、実際にはさらさら過ぎると、ほかの性能、衝突の衝撃の吸収や、金属にへばり付く能力、透間に止まっている能力、密閉する能力が足りなくなっちゃうんだよ。たとえさらさらでも、ほかの能力が十分にあればいいんだけど、ふつうの油じゃ難しいよね。ほかの性能の多くが、オイルの粘りけが強いほど性能がよくなるからね。

ふつうに考えればエンジンの設計にあわせた堅さのものを使う必要があるんだ。
中には、圧力のかかり具合とか、温度で粘り具合が変わったり、金属にすごくなじんではがれにくいような不思議なオイルもあるから、柔らかいのにほかの性能も高いオイルもあるんだけどね。

どうすればいいのか、書けないけど、いろいろ試してみてね。

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