2003年11月15日

(別館から)
熱くなりすぎないように冷やすために、まずは、熱の伝わり方を考えて見よう。
ルートはいくつかあるんだよ。

・部品どおしで直接
・部品と空気で
・部品とオイルで
・部品と水で(水冷のときね)
・部品から赤外線で(火から受け取る熱なんかはこれも多いんだよ)

熱が伝わる方法は、これの組み合わせになるんだよね。
では、最後にエンジンの外に行く熱は、どこから出て行くんだろうね。
考えてみたよ。

・シリンダやヘッド、クランクケースなどエンジンのケースから外気に
・オイルタンク、オイルクーラーなどオイル回りから外気に
・(水冷の場合)冷却水がラジエターを通して外気に
・エンジンやポートに入った混合気のガソリンの気化熱
・吸気される外気で

こんな感じかな?
結局、ガソリンの気化熱以外は外の空気に逃がしてるんだよね。
気化熱ってわかりにくいかな?
アルコールを腕に塗ると乾くときにス〜ス〜するでしょ。あれのことだよ。水とかガソリンとか、いろんなモノが蒸発するときに、蒸発するのに必要なエネルギーの分だけ周りから熱をもらうんだよ。それが気化熱って言うんだ。


では、どうやれば、熱を多く伝えられるんだろう?
ちょっと整理して見るね。

・モノが広い面積で接触している
  ちょっと浮いていても熱が伝わりにくくなるので注意してね
・モノが長く接触している
・空気やオイルと接触している場合は多くのモノと接触している
  流れが速いって考えてもいいかな
・温度差が大きいものが接触している

部品どおしで熱が伝わるときのことを考えたけど、それぞれの部品も、材料によって熱を伝えやすい物と伝えにくい物があるよ。前にも見たよね。
おさらいすると、銅、アルミ、鉄はよく熱を通すんだよね。こういうものは熱が伝わると全体がすぐに暖まるんだ。ゴムとかプラスチックは熱を通しにくいよ。

じゃあ、エンジンの熱くなるところは全部、一番熱を通しやすい材料を使えばいいと思うでしょ。でも、そうはいかないんだよね。
それぞれの部品の材料を選ぶ時には、強度とか耐熱性とか滑りやすさとか値段とか重さとかサビやすさとか、ほんとにいろんなことをバランスさせながら、どれを使うか決めているんだ。あと、簡単に作れるかどうかって問題もあるしね。

他のことを優先するために足りなくなった材料の特性を補うために、合金にしたり、冷やし方や暖め方を工夫したり、メッキや焼き入れなどの表面処理をしたりなど、いろいろ工夫してから使っているんだよ。

同じ材質でも、作り方のよっても特性が変わるんだよね。型に溶かした金属を流し込んで作る鋳造品より、それをプレスで圧縮して作る、ぎゅーっと詰まった(密度の高い)鍛造品の方が鋳造品よりも熱をよく伝えるよ。鋳造品は、原子の間に、細かい隙間が空いていたり、原子の並び方がふぞろいだったりするんだよね。その分軽かったり、加工しやすかったり、良いところもあるんだけどね。


最後にもうひとつ、熱を蓄えられる量も考える必要があるんだ。
まずは量。多い方がたくさんの熱を蓄えられるよ。たくさんの熱を蓄えたり吸い取ったりできるってこと。体積か重量が基準。コップのお湯はすぐに冷めちゃうけど
おふろの水はなかなか冷めないよね。同じように、オイルの量が少ないとすぐに暖まるけど、すぐに冷えちゃうんだ。エンジンの回し方なんかで発熱する量が変わると敏感に温度が変わっちゃうって事だよね。量が多いとなかなかオイルが暖まらないことになっちゃうんだ。暖まった時の柔らかさを基準に考えて作ってあるから、冷めたままなのもよくないんだよね。

他の部品にも温度が変わることの影響があるんだ。ほとんどのものは暖まると膨らむから、ゆっくりしか暖まらないものとすぐに暖まるものがセットで使われていると微妙にずれてきちゃったり、透間が開き過ぎたり、きつくなったりしちゃうんだよ。


今回はとりあえずここまで。次はどんなルートで熱が伝わるのかを考えるよ。

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