2003年11月14日

(別館から)
なるべく燃える火と接触する面積を減らすには、燃焼室に面している部品の表面をつるつるにするといいみたい。

ざらざらしてると、その分、表面積が増えちゃうからね。凹凸が少ない形にすることや出っ張りやへこみの角を丸めること必要だね。ただし自分で磨くときや角を丸くするときには、熱以外の要素もよく考えてね。

それでは部品ごとに見て行くよ。

直接火に触っているところは、燃焼室とエクゾーストパイプだけなんだよ。
部品で言うと
・ピストンの上面
・シリンダー
・吸気バルブ(普通は下面だけ)
・排気バルブ
・シリンダーヘッドの下面
・シリンダーガスケット(端だけ)
・プラグ
・排気ポート
※極たまーに吹き返して、吸気ポートからキャブまで。
・エクゾーストパイプのガスケット
・エクゾーストパイプ
※たまーにマフラーまで火が行っちゃうよ。

たったこれだけの部品だけなんだよね。なのに、エンジンってあんなに熱くなっちゃうのさ。

シリンダーの内側の表面には細かい傷(ホーニングの目)が付けてあるけどあれは磨いちゃだめだよ。細かい傷が無くなるとオイルが無くなって、ピストンとシリンダの滑りが悪くなったり、オイルがふさいでくれなくなるので燃焼室からクランクケースに空気が漏れちゃって、圧縮が無くなったりするから、適当にいじっちゃだめだよ。エンジンが壊れちゃうよ。どういう傷をどの程度付けるかは、ノウハウの固まりだからね。

それから、ピストンの上面をいじるときも注意してね。表面に1-2.のために上面に耐熱の素材をコーティングしていたり、バルブリセス(バルブをよけるためのへこみ)はバルブが開いたときに効率よく混合気が出入りできるような形状になっていたり、1-4.のために混合気を燃焼室中央に寄せるための工夫(スキッシュ)があったりするからね。問題が無ければピストンの表面を磨くのはとっても効果的だよ。鋳肌や切削機械の細かい凹凸があると、凸なところが暖まりやすくなったり、凹んだところにいつまでも熱い空気が留まっちゃったりするから気おつけてね。

バルブは磨いちゃえっていうのが正解。どこを磨くかに気おつけてね。すごく堅いから簡単には磨けないんだけど。
バルブガイドに当たる部分とバルブのフェース(ヘッドとぶつかるところ)は、下手に磨いたらだめだよ。がたが来たり、圧縮保てなくなっちゃうからね。
傘の部分の上の方には段差があるけど、滑らかにしちゃってもいいよ。軸と組み立てる時の加工の後だから。傘の下面も磨いちゃっていよ。ただし、厚さを削り過ぎて傘が弱くならないように気おつけてね。
吸気側は傘の下面しか火に触れないけど、排気側は傘の上下とも火に触れて、一番熱くなる部品なんだよ。磨いて見ると分かるけど、材質も排気側の方がすごく堅くて丈夫な部品を使ってるんだよね。チューンするための形状の変更の話はここでは省略。長くなっちゃうからね。
傘の外側の角は丸めちゃった方が熱を受けにくくなるよ。よく見るとヘッドと接触する面は端からミリ単位で内側なんだよね。傘でおおちゃってバルブのあたり面に火が入らないようになってるから削り過ぎはよくないよ。

ヘッドの下面はバルブとプラグがくっつくから細かく見ると結構複雑な形をしてるんだよ。いろんなことを考えながらだけど、磨くのが正解だね。鋳物のバリなど表面がでこぼこしてる時はならしちゃうほうがいいからね。
ただしバルブの間に盛り上がりは削り過ぎに注意してね。吸気と排気の両方が開いて新しい混合気が吸い込まれる勢いで燃え終わった排気を燃焼室から追い出すタイミングがあるんだけど、その時に吸った混合気がそのまま排気バルブに飛び込まないようにするための盛り上がりな事があるからね。
燃焼室の端のエッジの角を落とす時は、ガスケットやシリンダーもセットで考えてね。混合気を燃焼室の中央に寄せるためのスキッシュエリアが取ってあったり、ガスケットに圧力がかかりにくいようにわざと角を残していたりするからね。

プラグは火の出初めの場所だから、一番熱を受けるんだよね。いろいろいじりたいんだけど、表面が処理されていたり、火花が飛び安いような工夫がされていたりするから、熱を受けないための対策としては、燃焼室に顔を出す外側の表面を磨いて上げたり電極の外側の角を丸める位のことしかできないんだよね。プラグの形は空気の流れとか火の付き方なんかで考えるから、待っててね。

そうそう、排気ポートを忘れちゃいけないね。燃え終わった排気ガスが燃焼室から流れ出ていくんだもん。すっごく熱くなっちゃうんだよね。
シリンダーヘッドは鋳物でできているから、複雑な形を作るときに、型の合わせ目が残ってるんだよね。吸気ポートにものこってるんだけどそれなりにならしてくれてるんだよ。でも、パワーに影響しにくい排気ポートは結構いっぱいついてる事があるよ。熱にはこっちの方が問題なんだ。バリを取ったり段差を無くしたりして、スムーズに排気が流れるように整えてから、表面をきれいに磨いてあげるといいよ。

エクゾーストのガスケットやパイプの入り口と排気ポートの間に段差があること多いんだよね。Dポート形状なんか見たいに、性能を良くするために設けてあることもあるから要注意だけど、がたがたなままだと熱が溜まりやすいから整えてあげたいよね。

エクゾーストパイプとマフラーは熱よりも性能に効いてくるから今回は省略。

この辺で「1-1.なるべく燃える火と接触する面積を減らす」はおしまい。

どう?一個づつは簡単なことでしょ。その積み重ねなんだよね。

まだまだ続くよ。

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